はっきりと見え始めた安倍首相のインド太平洋セキュリティ構想

はっきりと見え始めた安倍首相のインド太平洋セキュリティ構想

Felix Kim(フェリックス・キム)

インド太平洋地域に関して、安倍晋三首相は過去10年以上にわたり民主主義国家による効果的な安保連携を掲げてきた。この構想は航行の自由、排他的経済水域の主権、資源サプライチェーンの安保、そして中国の違法な領土拡大に対する懸念に刺激されたものである。

地域の安保イニシアチブを見直すと、安倍首相の構想が実現しつつあることが分かる。

安倍首相は2006年の著書「美しい国へ」の中でも述べているように、早くからオーストラリア、インド、日本、米国の4ヵ国による安保連携を提唱している。最初の内閣総理大臣就任後の2007年8月、マニラで開催された日米豪印戦略対話で他3ヵ国の政府関係者等と会談するために、同首相は代表団を派遣したと、ジャパンタイムズ紙は報じている。

米国海軍が伝えたところでは、2007年9月、同首相(写真参照)は沖縄の沖合で全4ヵ国の海軍により実施されたマラバール海軍演習に参加している。日本が同訓練に招かれたのはこれが初めてである。その後、2009年、2011年、2014年に再び参加し、2015年に日本の定例参加が決定された。

2012年、安倍首相は内閣総理大臣に再就任する直前に執筆した英語論文「Asia’s Democratic Security Diamond(アジアの民主主義セキュリティダイアモンド)」で、インド太平洋地域の安保連携の構想を再び主張している。同首相は再びオーストラリア、インド、日本、米国に対して、「インド洋地域から西太平洋に至るまでの海洋公共財の保護」および「中国による海洋と領土の拡大の阻止」を呼びかけた。

ランド研究所の防衛アナリスト、ジェフェリー・ホーナング(Jeffrey Hornung)博士は、「安倍首相のセキュリティダイヤモンド構想は名案である」とし、「これにより、同様の価値観を持ち、航行の自由、民主主義、人権、法の支配を真に優先する国が結束できる」とFORUMに語っている。また、各国の価値観と利益が共通していることから協力しやすい。外交的にも、一部の側面では戦略的にも協力が可能で、中国の価値観に納得できない国が多数存在することを、同地域を侵略する中国に知らしめることができる。

米国海軍によると、2015年に米国は南シナ海で航行の自由作戦(FONOP)を開始している。これは、中国政府が同海域に人工的に建設した前哨基地から12海里以内に米国海軍艦艇を派遣することで、中国の違法な領土侵害に対抗する作戦である。2017年5月、日本は3ヵ月間の監視を実施するため、南シナ海にヘリ空母1隻と駆逐艦2隻を派遣した。2018年4月には、オーストラリアがベトナムに向かう途中で同海域へ自国の艦船を派遣し、中国の注意を引いている。

2017年11月、安保に関する対話を正式に再開し、「インド太平洋において法律に基づく自由で開かれた国際秩序を確立するための措置について議論する」ため、オーストラリア、インド、日本、米国の代表団が再びフィリピンのマニラで会談したと、日本外務省は報告している。

また、近年米印間で主要な防衛協定が締結されたことで、両国の防衛関係がより強化された。こうした連携関係すべてを合体すれば、中国を牽制し、同地域の均衡を維持できる可能性があるとするホーナング博士は、

「安倍首相が論文を執筆した2012年は、中国の押しが強くなり、同国がさまざまな建設を開始していたことから、中国により南シナ海が占領されるという脅威が出現していた」と説明している。中国は自国が建設した人工島を軍事化しているとは言え、自由貿易は依然として健在であると同博士は語っている。
フェリックス・キムは、韓国ソウル発信のFORUM寄稿者

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