ストレスと自殺リスク対策にヨガを用いるインド軍

ストレスと自殺リスク対策にヨガを用いるインド軍

マンディープ・シン(Mandeep Singh

兵士等のストレス、疲労、単調性、さらには階級間で問題となっている自殺のパターンに対処するための手段として、インド軍はヨガに目を向けた。

2019年1月、憂慮すべき軍隊での高自殺率を配慮したインドのスバシュ・バムレ(Subhash Bhamre)国防担当国務相は、国会議員等に対する通信の中で、「インド軍の兵士等にとって健全かつ適切な環境を確保するため」に講じる措置の一環としてヨガと瞑想を提案している。

2018年11月、精神的な啓発を促す非営利団体、Isha(イシャ)ファウンデーションにより、インドのコインバトール南部郊外に所在するAngamardana(アンガマルダナ)ヨガセンターでインド軍の64名の士官と下士官を対象としてヨガの修行が行われた。この14日間の修行はヨガセッションと講義による指導で構成されている。陸軍体育科(APTC/Army Physical Training Corps)からの参加者が現在、他の兵士にヨガを教えており、最終的には軍全体にこの修行を拡大させる予定である。

Isha発行の短編ドキュメンタリーで、ヨガ体験修行者等がその体験について語っている。

「体系化身体訓練を受ける我々は、4日間連続で掩蔽壕の中にいなければならないこともあるため、歩き回る空間がないというのが不安の種となる」と言うAPTCのビシャル・フーダ(Vishal Hooda)少佐は、「伸びをすることもできない。しかし、これ[Angamardanaヨガ] なら6 × 6の空間があれば体系的に修行できる」と続けている。

Ishaの創設者、ジャッギー・ヴァースデーブ(Jaggi Vasudev)によると、Angamardanaは3.34平方メートルの空間があれば修行できるだけでなく、機器も必要なく、自己の体重と身体の運動量を利用して筋肉の柔軟性を高めることができる。特に兵士等のニーズと束縛感を念頭に置いて、ATPC人員には集中的な25分セッション形式のヨガの訓練が提供されている。

フーダ少佐は、「家族と離れて暮らす期間が長くなるにつれて、兵士の日常はある意味で単調なものとなる。これはストレスとはまた違うものである。日常が徐々に単調化され、どこかで兵士は無意識のうちにこれに感化されるようになる」と説明している。

修行を通じて、同少佐はヨガによりこの単調性を打破できることを学んだのである。「Angamardanaにより、身体的だけでなく精神的にも強くなれる」と同少佐は語っている。

軍隊の身体訓練にヨガを取り入れるという決定には、ナレンドラ・モディ(Narendra Modi)政権がヨガのメリットを認識しているという事実が反映されている。インドのシュリー・M・ヴェンカイアー・ナイドゥ(Shri M. Venkaiah Naidu)副大統領は2019年1月21日の演説で、このインドの伝統的な修行法を「インド最大の遺産、世界への最も輝かしい贈り物」と表現している。

インドのハイデラバードに所在するYogaśāstra(ヨーガシャーストラ)ヨガ学校のディレクターを務めるリタ・カンナ(Rita Khanna)博士は、自著エッセイ「Importance of Yoga in the Armed Forces(軍隊におけるヨガの重要性)」の中で、ヨガにより兵士にもたらされるメリットは大きいと述べている。

「ヨガは生命のホリスティックサイエンスである」とするカンナ博士は、「これは身体的、精神的、感情的、そして魂の健康に作用するものである。ヨガの修行により、体力増進、精神的鍛錬、集中力と自信の向上、健康障害の治癒、冷静で落ち着いた心の維持が可能となる。少なくともこれらは兵士にとっても同様である」と説明している。

コーヤンブットゥールで2週間を過ごしたAPTCのニティン・ジョシー(Nitin Joshi)少佐もこれに同意している。

「自分にとって大きなメリットがあった」とする同少佐は、「将来的に軍隊の複数レベルでこの修行を伝授することになれば、このプログラム下で修行する者は誰でもその恩恵を受けることができると確信している」と語っている。

マンディープ・シンはインド・ニューデリー発信のFORUM寄稿者

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