ハノイでの首脳会談後、お互いの立場を交渉する米朝

ハノイでの首脳会談後、お互いの立場を交渉する米朝

FORUMスタッフ

北朝鮮の非核化に関する第2回米朝首脳会談は、合意に至ることなく2019年2月下旬に終了したが、政府関係者等とアナリスト等の間では次の交渉を催促する声が上がっている。

「会談の結果はそう悪くないと言い切る者も一部存在する。ジェラルド・サイブ(Gerald Seib)記者は、非核化の交渉は成立しなかったが、別の取引についてはまだ望みがある」と、2019年3月4日付のウォール・ストリート・ジャーナル紙の記事で述べている。(写真:2019年2月28日、ベトナムで開催された北朝鮮の金正恩(Kim Jong-un)最高指導者との会談からの帰国途中、燃料補給のために立ち寄ったアラスカ州アンカレッジでエアフォースワンから降りる米国のドナルド・トランプ大統領)

首脳会談終了後、韓国の文在寅(Moon Jae-in)大統領は速やかに行動を起こした。

AP通信によると、同大統領は、「今回は決裂したとは言え、両国が話し合いを継続し、両首脳が再び会談して速やかに合意することを願っている」と、2019年3月4日に大統領官邸「青瓦台」で開催された会議の席で語っている。同大統領はまた、「その過程で当国の役割もまた重要なものとなってきた。米朝交渉は最終的には成立すると信じているとは言え、対話の停滞や行き詰まりが長期化することは全く望ましくない」と述べている。

同日遅く、米国のマイク・ポンペオ国務長官がアイオワ州農業局に対して、今後数週間のうちに米国から北朝鮮に代表団を派遣することを検討していると語っている。

同国務長官の発言によれば、「確定しているわけではないが、米国政権は今後も問題に取り組み、今後数週間のうちに北朝鮮政府に代表団を送ることを考えている」のである。

2018年に文在寅韓大統領は、トランプ米大統領が最初の首脳会談の計画を取り下げた5月、および同大統領が8月に予定されていたポンペオ米国務長官の平壌訪問を中止した後の9月の2回にわたって仲介者としての役割を務めている。

ベトナムのハノイで開催された第2回首脳会談の前、トランプ米大統領は北朝鮮の非核化については「急いでいない」と発言している。同大統領の優先事項は、北朝鮮政府の弾道ミサイルと核ミサイルの実験停止に関する交渉を確実に継続することである。アナリスト等は両者の条件の定義が一致していなかったことが交渉決裂の主要原因と分析している。短期的には残念な結果となったが、これにより新たに明瞭になった部分もある。

オンライン雑誌、ザ・ディプロマット(The Diplomat)のアンキット・パンダ(Ankit Panda)記者の分析によると、公の議論の場で北朝鮮が明確に核心的な要求を伝えたのは今回が初めてである。

同記者が報じたところでは、北朝鮮の李容浩(Ri Yong Ho)外相は、「北朝鮮は明確な順序で明確な要求をした。当国は寧辺核施設の廃棄と引き換えに、最近採択された国連安全保障理事会決議のうち5件の制裁解除を求めた」と述べている。このように、2018年6月にシンガポールで開催された米朝首脳会談以来北朝鮮が要求していた「見返り」の定義を表明したのである。2016年と2017年に採択された国連安保理制裁には本質的に武器取引以外のほぼすべてが含まれているにも関わらず、金正恩政権はこの制裁解除の見返りとして、主要機能として核兵器と弾道兵器を収納している寧辺核施設のみを破棄することが全く公正な取引であると考えている。すなわち、北朝鮮は300棟の建物が広がる複合施設に存在する巨大な核分裂性物質製造施設、5メガワット電力のガス-グラファイト原子炉、ガス遠心法ウラン濃縮施設は放棄しても構わない考えていると、同記者は推測している。

トランプ米大統領はその要求を拒否する以外にほとんど選択肢はなかったという見解で、ほとんどのアナリストが同意している。北朝鮮政府は全国的に実施されている武器開発計画のわずか一部の破棄しか提示しなかっただけでなく、概して「北朝鮮には核兵器を放棄するつもりはない」と、同記者はザ・ディプロマットで述べている。

米国政府は北朝鮮が完全に非核化するまで制裁を続けるとの姿勢を貫いている。

2019年3月上旬、米国国家安全保障問題担当のジョン・ボルトン(John Bolton)大統領補佐官はCBSで放送されているフェイス・ザ・ネイション(Face the Nationで、米国は北朝鮮の条件を受け入れなかったが、トランプ米大統領は「北朝鮮の金正恩最高指導者との関係を深化した」と語っている。

「米大統領と金最高指導者の個人的な関係は非常に大きな成果を生み出すにはまだ不十分であるとは言え、希望の兆しとして、ハノイでの決裂に関わらず、プロセスを順調に進める上でこの関係が役立つ可能性があるということが挙げられる」と、サイブ記者はウォール・ストリート・ジャーナル紙で述べている。

ボルトン大統領補佐官は出演したテレビ番組で、非核化の話し合いについては「期限はない」とする主張を通し、「米大統領は下位レベルで交渉を続行する、または適切な時期に再び金最高指導者と対談する準備ができている」と説明している。

それまで、両国はより強い交渉上の立場を獲得するために攻防を続けると考えられる。ロイター通信が報じたところでは、北朝鮮は昨年中ミサイルと核実験を延期し続けてきたが、衛星画像では2019年2月16日から3月2日の間に東倉里のミサイル発射施設の一部が修復された様子が捉えられていると、米国のシンクタンク、スティムソン・センターは発表している。

その局面として、首脳会談直後、米国は長期にわたり実施されてきた韓国との軍事演習を縮小したが、この衛星画像により新たに検知された情報を受け、同大統領補佐官は北朝鮮が核兵器計画を放棄しない場合は、米国は制裁強化を検討すると述べている。

同大統領補佐官はまた、「北朝鮮が同計画を放棄しない場合に、米国がどうするかはトランプ米大統領が非常に明確に表明しており、現在北朝鮮に科されている圧倒的な経済制裁は解除されない。実際のところ、米国は制裁措置を強化することを検討する」とFox Business Networkにコメントしている。

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